止血・癒着防止用外科手術装置 |
開発状況と今後の開発 |
■開発状況1:ブタによる癒着防止・止血・シーリング効果の確認
1次試作品の装置を用いて、ブタの実質臓器部出血、癒着、小腸穿孔、肺気胸モデルを作成し、本技術による創傷面への過飽和CMC-Naゲル被膜の形成により癒着防止・止血・シーリング効果があることを確認しました。 |
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創傷面の止血 |
指で触れても剥がれないゲル被膜の形成(癒着防止) |
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負荷に耐えうるシーリング効果 | |
■開発状況2:ウサギによる有効性・安全性の確認 産婦人科での実用化を見据え、2006年からウサギ子宮・卵巣全摘出モデルを作成し、その子宮断端部および血管結紮部位に対して本技術の癒着防止効果を確認した。対照群、処置群の各14羽に対して、術後2週間で安楽死させて腹腔内臓器との癒着状態を観察しました。具体的には、術後子宮膣断端部および血管結紮部位と他の腹腔内臓器との癒着を癒着無しを「−」、軽度(剥離可)を「+」、重度(剥離不可)を「++」とし、スコア評価を行ないました。
肉眼的観察では、対照群において、手術中に切開や縫合を伴う子宮断端部および血管結紮部位では、盲腸をはじめとする隣接する腸器官、膀胱との重度癒着が見られました。それに対し、処置群ではそれらの癒着を明らかに防止、又は程度を軽減できている様子が観察できました。
スコア評価の結果(下表「対照群、処置群のスコア評価結果」参照)をもとに解析を行なった結果、全癒着(軽度および重度癒着の両方)では66.7%の癒着防止効果が見られ、P=0.00024で高度に有意な差が見られました。また、重度の癒着だけを比較してみると、90.5%の高度な癒着防止率を示し、P=0.00013で高度に有意な差が見られました(下図「対照群、処置群の癒着防止率」参照)。 |
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対照群、処置群のスコア評価結果 |
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対照群、処置群の癒着防止率 |
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