カスタムメイド人工骨 | 開発の背景と目的 |
現状の骨移植手術には、自家骨移植(患者さん自らの骨を健常部より摘出移植する)、他家骨移植(骨バンクで保存されている他人から提供された骨を移植する)、人工骨移植が挙げられます(下表「既存の骨移植手術とその特性」参照)。
自家骨移植は現在のところ最も効果の望める治療法ですが、自分の健全な骨の一部を削り取って移植するため、健康な骨に傷をつけ、術後の審美性や摘出量に制限があるなどの問題があります。
他家骨移植は米国では盛んに行われていますが、他人の骨を使用するために感染症や倫理的な観点から、日本ではほとんど行なわれていません。
人工骨にはブロック状・顆粒状・ペースト状の形状があり、ハイドロキシアパタイトやリン酸カルシウムを骨代替材としたもので、原料を焼結させて成形した人工骨が広く使用されてきました。しかし、焼結を行なうと人工骨が自分の骨に置き換わるまでの期間が遅いため、成長の早い子供の骨へ使用することは困難となっています。
現在行なわれている、いずれの治療法も手術中に欠損部や変形部に合わせる加工時間や加工技術が必要となるため、手術時間が長くなり、患者さんへの負担が大きくなっています。
そこで、我々は「患部の欠損部や変形部の形状と同じ形状の人工骨」と「骨再生に有利な内部構造をもち、将来的には自分の骨に置き換わる人工骨」を同時に満たし、患者さん一人一人に最適な人工骨を作ることを目的に開発を進めています。
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既存の骨移植とその特性 |
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